ロッパ見たさに

「音樂大進軍」(1943年、東宝
渡邊邦男監督・友成達雄撮影/古川緑波/岡譲二/岸井明/渡辺篤/里見藍子/若原春江/英百合子/中村メイ子

とにかく古川緑波を見たかった。南方の軍隊に対する音楽慰問団を作ろうと企画したロッパとロッパ劇団の花形渡辺篤が音楽家たちを説得して回るという映画。実際に南方の戦地での公開も意識されていたとのことで、藤原義江ら著名音楽家長谷川一夫山田五十鈴らスター俳優が実名で出演(やはり山田五十鈴かわいい)。子役の中村メイ子大活躍の巻。
肝心のロッパは狂言回し的役割でそれほど活躍するわけでなく、映画自体は面白いというほどでもない。でっぷり太った喜劇役者ロッパの「雰囲気」を楽しめただけで満足すべきか。存在が面白い。
ちょうど来る前に買い求めた小林信彦さんの『一少年の観た〈聖戦〉』や、偶然カバンに入れていた『夢声戦争日記』の昭和18年の部分(第三巻)をめくっても、この映画のことは話題にされていない。これで言及されていたら偶然の一致を喜んだのだが。
冒頭が和光(服部時計店)の建物のシーン、東京駅の失われたドームも映っていた。